初出場初勝利

【1980年7月16日・秦野球場(全国高校野球神奈川大会)】
チーム
厚木北 12
渕野辺 11

高校入学してから3年目。在学中は最初で最後の夏の大会だった。
1年目はまだ人数が揃わず,2年目は高校野球連盟への加盟が
間に合わず,秋季大会からやっと公式戦に出場した。
当時のグランドは現在ある高いネットがない為打撃練習は出来ず,
紙をテープで巻いた「紙ボール」を使っての練習など
22名の部員で涙ぐましい努力をしていた。
試合は秦野球場の第二試合だったので授業が終了してから
急いで球場へ向い,第一試合の途中で球場に到着した。

試合は先発のエース・南が初回無死からいきなり二塁打と左前安打を
打たれて先取点を許し,さらに1点追加された。
厚木北は4回中前安打で出塁した南を中村の二塁打で返して1点差にした。
5回南は二死2塁から左前安打を打たれて1点。さらに二盗,三盗に
捕手の三塁悪送球で1点取られた。
6回からショートを守っていた主将の門倉が救援。門倉は大会が開幕する
直前から毎朝体育館の横で投球練習をして出番に備えていた。
しかし門倉も一死2,3塁から失策,捕逸,野選などで3点取られて
しまった。この時点で私は初出場校の初戦突破はかなり難しいと
実感していた。ところが7回から厚木北の反撃が始まった。
敵失と二塁打で無死2,3塁から門倉の左前安打で1点。四球で無死満塁
から森の中前安打で2点返した。ここで渕野辺も投手を交代させたが,
南の三塁打と敵失でついに同点に追いついた。
8回は無死満塁から森が押出し四球を選んで逆転。南の三塁打と前田の
犠飛でさらに4点追加した。
8回裏を三者凡退に抑えて勝利目前となった9回裏渕野辺の最後の反撃が
始まった。2四死球と二ゴロで一死2,3塁から二塁打と三塁打を
打たれて3点返され,三球三振で二死後右前安打でたちまち1点差に
なった。センターの失策で二死1,2塁となり長打を打たれたら
逆転サヨナラ負けのピンチとなったが門倉が踏ん張って次打者を投直に
打ち取り,夏の大会初出場で初勝利を記録した。

主将の門倉は試合途中で敗戦を覚悟し「明日から遊べると思った」と
試合終了後に洩らしていた。
江藤監督は粘り強く逆転し相手の反撃を防いだ試合後に
「選手達を褒めてやって下さい」と語っていた。
続く3回戦の相工大付(現・湘南工大付)戦は7回まで5−3と厚木北が
リードし,初出場校が2勝目を記録するかと思われたが8回失策絡みで
逆転を許し敗れた。
勝っていれば次戦は横浜スタジアムで試合が出来たのに残念だった。
厚木北高校野球部が初めて横浜スタジアムで試合をするのは21年後の
夏の開幕戦だった。




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